空き家問題は田舎だけに限ったことではありません。空き家管理・売却を行うThird Brain(サードブレイン)が拠点とする広島県福山市でも、空き家問題は年々深刻化しています。
たとえ賃貸物件に住んでいたとしても親や親族が所有する戸建やマンションがあるなら、いずれ相続する可能性があります。その時、移り住むことなく誰も借り手が見つからなければ、そこは空き家となってしまうのです。このように、空き家問題は多くの人にとって決して他人事ではない問題となりえます。
空き家は現状どのくらいあるのでしょうか。総務省統計局では、5年ごとに空き家および空き家率の全国的な推移を調査しています。その調査では、平成25年は空き家数が820万戸、空き家率が13.5%です。5年前の平成20年と比較すると空き家数は63万戸、空き家率は0.4%上昇しており、年々増加傾向にあります。
引用:総務省統計局 平成25年住宅・土地統計調査 特別集計
さらに、空き家と一口に言っても様々な種類があります。
種類別の空き家の割合においては、二次的住宅、賃貸用住宅、売却用住宅はいずれも減少傾向にあるのに対し、その他に分類される空き家の割合のみ増加傾向にあります。
引用:「不動産流通促進センター 2015不動産業統計集」より
人口減少時代に入った日本ですが、それでもまだ世帯数は増加しています。にもかかわらず、空き家が増加してしまうのはなぜなのでしょうか。
それは、新設住宅が増加しており、多くの人が新しい住宅に住みたいと考えるからです。また、空き家になっていても解体されない住宅が多いことも空き家が増え続ける理由です。そのため、空き家が増えているのに年々新設住宅も増えているという現象が起こっています。
(単位:千) | 平成21年 | 平成22年 | 平成23年 | 平成24年 | 平成25年 |
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新設住宅着工戸数 (新しく建てられる戸数) |
775 | 819 | 841 | 893 | 987 |
滅失戸数 (解体される戸数) |
112 | 137 | 115 | 125 | 127 |
その差 | 663 | 682 | 726 | 768 | 860 |
引用:国土交通省「新設住宅着工戸数の推移」および「住宅の滅失戸数の推移」より
不要な空き家は解体して新しく建て直したらよいと思われるかもしれませんが、なかなかそう上手くはいきません。それは以下のような理由があるからです。空き家が減らない理由は大きく分けて3つあり、「経済的な負担」「住まいに対する想い」「一度解体すると再建築できないケース」が挙げられます。
解体自体に費用がかかり、また解体して住宅がなくなった土地は固定資産税が最大4.2倍にまで増えてしまいます。つまり、お金を使って解体しても税金が上がってしまうため、空き家を解体しようと考える人が少なくなってしまうのは当然なのです。
住まいには住んでいた人の想い出や愛着といったものが詰まっています。それゆえ、解体するのをためらってしまい、空き家の状態にしておくということもあるようです。
現行の建築基準法施行以前に建てられた古い空き家の中には、一度解体すると再建築が認められない土地であるケースがあります。その場合、空き家を解体してしまうと住宅を再建築したり宅地として売買したりすることができず、放置するしかなくなってしまうのです。